当院は、年1回、町田市の委託を受けて、認知症ケアに関わる地域の専門職種を対象とした『認知症ライフサポートモデル』に関する多職種ワークの研修会を開催しています。

『認知症ライフサポートモデル』は、今後目指していくべき認知症ケアの概念であり、「認知症の人への医療・介護を含む統合的な生活支援」と定義されています。

11月9日(土)に町田市役所で行われた今年の研修会では、医師、看護師、薬剤師をはじめとする医療職、ケアマネージャーやヘルパーといった介護職など40名の専門職が集まりました。

また今回は、医療介護の専門職だけでなく、より生活の場に密着した立場の人たちの助けも重要と考え、地域で活躍する認知症サポーターの方々、町田警察署 生活安全課の警察官の方々医療・介護の専門職以外の方々にも参加してもらい、多彩な顔ぶれでグループワークを中心とした研修を行いました。

 

統合的な生活支援とは

医療も介護もその人の生活支援の一部と捉え、認知症の人の「本人が望む暮らしを実現すること」と、「心身を支えていくこと」の両方の視点を持ち、専門職同士がお互いの役割や機能を理解しながら、統合的なケアの提供を実現することを目指しています。そして、その目的は、たとえ認知症になっても、その人がその人らしく地域の中で生涯を全うできる社会を実現することにあります。

3時間に及ぶ多職種ワーク

具体的な研修内容ですが、事例となるDVD映像を基に進められ、本人の意思に反して、周囲の都合や判断が優先された本人不在のケアマネジメント、手遅れ型の支援となった事例を見て、どうすればあるべき姿に導けたかを多職種でのグループワークで知恵を出し合い、早期の段階から関わり、多職種チームで目標を共有する備え型の支援の重要性を学ぶ内容となっています。

 

今年6月に政府より出された「認知症施策推進大綱」では、「尊厳を持って認知症と共に生きる」共生社会の実現を謳っています。認知症により生活上の困難が生じても、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられる社会の実現を目指し、今後も地域の認知症医療に貢献できるよう取り組んでいきたいと思います。